博士後期課程2年の中庭望のX線観測衛星(すざく、XMM-Newton)を用いた矮新星の観測論文がMonthly Notice of Royal Astronomical Society(MNRAS)誌に受理されました。

矮新星は可視光で急に明るくなる頻度の多い激変星と呼ばれる白色矮星連星系の一種で、白色矮星の周りに円盤を形成します。円盤はケプラー回転しながら白色矮星にガスを降着させており、降着時に解放するエネルギーの大きさが明るさの大きさを表します。この増光頻度が多いことから、100年以上前からプロ・アマチュア天文家の観測対象として継続的に研究が進められてきました。

一方で白色矮星は自転しているため円盤の内側では強い摩擦が働くことで高温状態となり、X線が放射されます。この論文では可視光で暗い時期(静穏時と呼んでいます)の円盤内側での振る舞いをX線スペクトル解析により詳細に調べ、矮新星が増光するまでの間に円盤から白色矮星への降着率が時系列的に減少する傾向を新たに明らかにしました。

https://academic.oup.com/mnras/article/488/4/5104/5536946

激変星のX線観測に興味のある方は首都大学東京の連携大学院である宇宙科学研究所のコラムをご覧ください。

X線分光観測で探る激変星の物理http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2007/ishida/index.shtml

X線で白色矮星の重さを測るhttp://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2014/hayashi/index.shtml