Experimental Astrophysics group in Tokyo Metropolitan University, X-ray Astronomy & Astrophysics

装置開発

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MEMS X線光学系

宇宙X線望遠鏡には、X線に対する物質の屈折率は1よりもわずかに小さいため、1°以下で入射させる全反射を利用した斜入射光学系が一般的に用いられています。現在の製法(研磨法、レプリカ法、フォイル法等)では、重量が大きくなり、打ち上げコストも甚大になります。そこで、私たちは最先端の技術を駆使して、独自の軽くて性能のよいX線望遠鏡の開発を行っています。

マイクロマシン技術、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanicl Systems: メムスと発音)技術をX線ミラーに応用してます。MEMSとは、シリコンをはじめとする半導体などをミクロン(1mmの1000分の1)サイズで加工する技術のことです。我々は試作した光学系で本方式で世界初の集光結像に成功しました。現在は様々な将来X線観測衛星や太陽系探査に応用すべく開発を進めています。

Si フォイル光学系 (Silicon Foil Optics)

次世代のX線反射鏡に求められるのは軽量性に加えて、きわめて高い角度分解能です。従来の日本のX線天文衛星に搭載されてきたAl フォイル方式の軽量性はそのままで、角度分解能を1桁程度向上するために、我々は剛性の高い Si 基板を高温で塑性変形する独自の手法を開発しています。

ブラッグ反射型 X線偏光計

宇宙X線観測において、イメージ、スペクトル、時間変動に継ぐ第四の情報となるのが偏光です。我々はSi 基板の加工技術を生かして、ブラッグ反射型の偏光計を開発しています。偏光の検出感度は高いものの単色にしか基本的につかえなかった方式ですが、我々は基板を曲げることでマルチバンドでかつ集光が可能なものを製作し、実際に偏光の検出や結像に成功してきました。

超伝導遷移端(TES)型X線マイクロカロリメータ

XRISM や ASTRO-H に搭載されたX線マイクロカロリメータの撮像性能と分光性能を上げるため、我々は超伝導体の急激な抵抗変化、すなわち遷移端を温度計として用いる次世代方式を開発してきました。本研究室では超伝導薄膜のスパッタ装置を持っており、それを用いて素子の自作して、単素子でエネルギー分解能 ~4 eV を達成してきています。

超伝導ヘリウム排気系デバイス

XRISM や ASTRO-H 衛星では素子を極低温に冷却するため冷媒として液体ヘリウムを用いています。しかし液体ヘリウムは超流動状態で用いるため、配管の側壁を伝って逃げるフィルムフォローによる損失が無視できなくなります。これは軌道上での液体ヘリウムの寿命に直結します。そこで、我々はこの排気系を住友重機械工業らと共に開発しました。排気系に用いるSi デバイスは、我々自身が実験室でMEMS 技術を用いて自作したもので、原子レベルにするどいエッジを持つことで、液体ヘリウムの流出を表面張力で押さえるものです。

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