首都大学東京の宇宙物理実験室の一戸悠人、山田真也、宮崎直人(卒業生)と、立教大学 斉藤新也の4名からなる研究グループで、X線のスペクトルフィットの前処理に機械学習を導入することを初めて提唱し、実データに適用して、数%の精度で単一温度の熱的プラズマのパラメータを推定することに成功しました。
これにより、フィットの初期値を無バイアスで迅速に探索できる可能性が大きく広がります。研究グループは、「ひとみ」衛星のミラーとマイクロカロリメータの応答関数を用いて、単一温度プラズマのスペクトルを 1万個生成したデータを用いてネットワークのトレーニングを行いました。このネットワークを実際に「ひとみ」衛星で得られたペルセウス銀河団のスペクトルに適用して、数%の精度でパラメータの推定ができることを実証しました。
従来のスペクトルフィットの前処理として機械学習を使うことを提唱したもので、今後は様々な天体のスペクトルやサイエンスへの応用が期待されます。
- 原論文 (Neural network-based preprocessing to estimate the parameters of the X-ray emission of a single-temperature thermal plasma)