鈴木瞳さんの XMM-Newton 衛星 RGS 回折格子を用いた超新星残骸 N132D の高分解能X線分光解析によるプラズマ診断に関する論文が ApJ に掲載されました。
N132D は大マゼラン雲内でX線で最も明るく輝いている重力崩壊型の超新星残骸であり、XMM-Newton 衛星は主に検出器の機上較正を目的として、この天体を定期的に観測しています。本研究では、XMM-Newton 衛星に搭載されている RGS 検出器のデータ 9観測 (合計 199 ksec) に対して、モデルフィッティングとプラズマ診断を行い、N132D のプラズマ状態を探りました。その結果 0.3-2 keV のX線スペクトルが電子温度に見合った電離度に達していない「電離非平衡状態」を示していること、アバンダンスが大マゼラン雲の星間物質程度であることが分かりました。また、輝線強度比を根拠に、電荷交換反応や共鳴散乱などが起きている可能性についても議論しています。
ApJ: https://doi.org/10.3847/1538-4357/aba524
arXiV: https://arxiv.org/abs/2007.06158