宇宙物理実験研究室4年生の岸川くんのNGC253のALMAデータと機械学習を用いた星形成に関わる構造抽出の論文がPASJに掲載されました。
NGC253は銀河系の近傍に存在する銀河の一つであり、爆発的な星形成(スターバースト)をしていることで知られています。スターバーストは宇宙の進化を考える上で重要な現象であると考えられていますが、その仕組みははっきりとわかっていません。
本研究では、チリに存在するALMA (Atacama Large Millimeter/Submillimeter Array)によって取得された150種類の分子輝線・電波再結合線・連続波のデータから、NMF (Non-negative Matrix fatorization; 非負値行列因子分解)と呼ばれる手法(機械学習)を用いて、星形成に関わる構造を抽出することを目指しました。その結果、(1)希薄なガスの分布、(2)分子雲同士の衝突(ショック)構造、(3)スターバースト領域、(4)若い星を形成している領域、(5)中励起のショックを示す分子の分布とそれに特徴的な輝線・連続線を抽出することができました。2030年代のALMA望遠鏡性能向上による輝線データ量の増加に対する新たな手法として、NMFの応用が期待されます。
Title: Components of star formation in NGC 253 : Non-negative Matrix Factorization Analysis with the ALCHEMI integrated intensity images
Authors: Ryo Kishikawa, Nanase Harada, Toshiki Saito, Susanne Aalto, Laura Colzi, Mark Gorski, Christian Henkel, Jeffrey G Mangum, Sergio Martín, Sebastian Muller, Yuri Nishimura, Víctor M Rivilla, Kazushi Sakamoto, Paul van der Werf, Serena Viti
PASJ: https://doi.org/10.1093/pasj/psae095
arXiv: https://arxiv.org/abs/2411.03867
This work was partially supported by Summer Student Program (2023)
National Astronomical Observatory of Japan and The Graduate University for Advanced Studies, SOKENDAI.
本研究は 2023 年度国立天文台・総合研究大学院大学サマーステューデントプログラムの援助を受けて行われました。